声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。

「日髙のり子の声優道」 第2回は6月26日配信予定!! お楽しみに★

長沢美樹の声優道

さまざまな作品で声の演技を聴かせてくれるだけでなく、その明るくさっぱりした話しぶりからラジオパーソナリティーとしても人気の長沢美樹さん。また、自分が声優として活躍するだけでなく、所属事務所アトミック・モンキーの声優・演技養成所で後進を熱血指導するという一面をもつ、長沢さんの「声優道」にスポットを当てます。

プロフィール

長沢美樹 ながさわみき……7月11日生まれ。アトミックモンキー所属。主な出演作はアニメ『それいけ!アンパンマン』(クリームパンダ)、『ハートキャッチプリキュア!』(酒井まさと)、『源氏物語千年紀 Genji』(朧月夜)、『スーパーロボット大戦OG-ジ・インスペクター-』(スレイ・プレスティ)、『吸血姫美夕』(美夕)、『新世紀エヴァンゲリオン』(伊吹マヤ)、ラジオ『智一・美樹のラジオビッグバン』(パーソナリティ)ほか。

①オーディション不合格が続いてたときに気づいたこと

 

プロの心構えを教えてくれた勝田声優学院

長沢美樹

 今から思い返すと、小さいころから本を声に出して読むのが大好きで、小学校のときには国語の時間に先生から指されて教科書を音読するのが楽しみ、という子供だったんです。でもまさか自分が声優になるなんて考えてもみませんでした。中学・高校のときには放送部に所属していたんですが、その理由が「校内放送をしなくちゃならないから、放送部員は掃除の時間にさぼれる」というものでしたからね(笑)。ただ、校内放送を担当しているうちに「面白かったよ」「良い声だね」みたいな感想をもらえるのがうれしくなって、進路を決めるころには「アナウンサーになりたい」と思うようになっていました。
 でもいろいろ調べてみると、アナウンサーはただ声を出すだけではなく、顔も良くなくちゃダメみたいなんですよ(笑)。それでほかの道はないのかなと考えたとき、「あ、声優という道もあるじゃないか」とひらめいたんです。思い立ったその日のうちに本屋さんに行って、名前を知っていたアニメ雑誌を手にと

って、最初に開いたページに載っていた勝田声優学院の募集に応募したんです。それまで声優養成所のことを調べたこともなかったし、どんなことをやるのかまったく知らない状態で入ったんですが、今から考えるとよくそんな勇気があったなと思います。
 勝田声優学院といえばレッスンが厳しい養成所というイメージをもっている方も多いと思います。今は勝田先生もかなり優しくなられたみたいですが、私達が学んでいたのはまだ激烈に厳しかった時代で、みんなレッスンの後は泣きながら帰ってました。先輩が軒並み泣いたという話は聞いていたんですが、私もレッスン中に怒鳴られて、あまりの怖さに泣きました。私はそれまでに演技経験などもまったくなかったので、発声や滑舌といった基礎の基礎から全部、勝田声優学院で教わりましたから、「あのとき教わっていて良かった」と思うことは今でもたくさんあります。でも、一番心に残っている教えは、細かい演技のテクニックとかではなくて、プロとしての心構えです。特に、声優がどんな仕事かもよく知らず「声優になるんだ」というだけの甘い考えで入ってしまった私などは、プロになるというのがどういうことなのかまったく解っていないんですから、先生としても叩き込み甲斐があったんじゃないでしょうか。勝田先生からは本当に口癖のように「そんなことならお嫁さんになったほうがいい」と言われたのを覚えています。具体的な例を挙げると「NGを3回出したら、次はないものと思え」というようなことなんですが、これは声優に限らず社会に出て仕事をしていく上で必要な心構えですよね。そういう声優としてだけでなく、人間としての基礎の部分をたたき込まれたのが大きいと思います。

 

審査員という観客が私に注目している

    

 勝田声優学院には4年間通いました。通常は3年間しか在籍できないんですが、講師の水鳥鐵夫先生が開いているゼミをもう1年間受講したいと思い、勝田先生に直談判して留年という形にしていただきました。最初は勝田先生も「前例がないんだけどね」と渋っていたんですが、「前例がないなら、作ってください」と言った覚えがあります(笑)。4年目は勝田と同時に俳協ボイスアクターズスタジオにも通っていて、1年後には無事に俳協の所属になれたんですが、事務所に所属できたからといってすぐに仕事がもらえるわけもなく、オーディションを受けては落ちまくっていました。
 あまりにオーディション不合格が続くので落ち込んでいたとき、ふと気がついたんです。今までオーディションを受けていても、合格することばかりを考えていて、お芝居を楽しんでいなかったなって。オーディションは審査をする方々が全力で私のお芝居に耳を傾けていてくれる瞬間なんだから、それを楽しまなかったらもったいないじゃないですか。そう考えかたを変えてから最初に受けたオーディションがOVA『KEY THE METAL IDOL』で、初めて受かって役をいただきました。

  今まで出演したどの作品も印象に残っているんですが、やはり初オーディションに受かった『KEY THE METAL IDOL』は印象深いですね。あと転機になった作品としては『新世紀エヴァンゲリオン』の伊吹マヤ役です。作品自体がかなり大ヒットだったので、そこに出演できたことでより多くの方に私を知ってもらえたんじゃないでしょうか。そういう意味では、私を押し上げてくれた作品といってもいいと思います。
 個人的にうれしかった役は、『それ行け!アンパンマン』のクリームパンダです。出演が決まる前から1年くらい収録見学をさせていただいていた憧れの作品なので、自分もレギュラー出演できると決まったときには、うれしさでいっぱいでした。今でも収録のときは、幸せを噛みしめながら演じています。



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