初期アルバム5タイトル再リリース 前編







■1stアルバム『スローガラスの輝き』
 山本正之先生が作詞をしてくれたり、田中公平さんが曲を作ってくれたり、ゆうきまさみさんがライナーノーツにコメントを書いてくれたり……その頃は気付かなかったんですけど、すごい方々がそばにいてくださったんだなと。正之先生に詞を書いていただいた「夢上の楼閣」はブラックで不思議な世界で、かなり大人っぽい曲だったんですけど、あの頃は全然そういうのに気付かないで歌っていましたね。後になって私すごいこと歌ってたんだ!とビックリ(笑)。「いつかきみと…」はコンサートでは必ず歌っている大好きな曲。水沢めぐみさんの漫画のイメージアルバムから生まれた曲で、作曲は谷山浩子さん。こんなアーティスティックな方たちと出会うきっかけになった曲が初めてのアルバムに入ったことがすごくうれしかった思い出があります。
 「約束(ぷろみす)」という曲で初めて作詞もしたんですけど、今見ると気恥ずかしいですね。そういうところも含めて“初期”という感じです。ジャケットの写真を見るとメイクや衣装が老けてて「誰?」って感じですね(笑)。最初に演じた役が異星人だったせいなのか、この頃の私は、クールなイメージがあったみたいです。


■ 2ndアルバム『CAFE PARADISE』
 このアルバムは松宮恭子さんが“こういう世界観を書きたい、でも自分は曲作りに徹して誰かに歌ってもらいたい”ということで、巡り合った1枚でした。ある意味、松宮恭子監督作品という感じで最初から最後までで1本のストーリーになっています。すごくマニアックで松宮さんの世界観にどっぷり浸れる曲たちなんですが、私は5歳からお芝居をやっていたので世界に入っていきやすかったですね。このアルバムの曲たちは、ひとつひとつの世界観が強すぎて、他の曲の中に一緒に入れることができなくて、コンサートでは今までほとんど歌えずにいたんです。
 12月のディナーショーで今回リリースする5枚の中から曲を歌うことになって、やっぱり選曲に悩んでしまったんですけど、当時には分からなかった曲の良さが改めて分かってきましたね。今だったらもっとこいういう風に歌えるのにな、というところもあるんですけど、きっとその頃ならではの良さもあると思います。ジャケットは、松宮さんが衣装を選んでくださったりして、笠原弘子というより『CAFE PARADISE』のヒロインというイメージになっていますね。


■3rdアルバム『Semi-Precious Stone』
 「雨音はショパンの調べ'90」は、小林麻美さんの歌のカバーです。私のカバー曲としては「異邦人」に続いて2曲目。でも今20代くらいの人たちって小林麻美さんを知らないんですよね。ディナーショーのバンドメンバーにも私のオリジナル曲だと思われていて、“それは光栄すぎる”と思ってしまいます。
 思えば私はこの頃から、幸せいっぱいの歌より切ない系の歌、大人になってからジンと胸にしみるようなタイプの歌をよく歌っていますね。切ない歌の方が気持ちがグっとくるんですよ。幸せいっぱいな曲って、自分も幸せなときなら気持ちが入りやすいんですけど、そんな時期ってそう長くないですよね。切ない歌はずっと心に染み渡りますから。
 ジャケットを見ると、この頃めちゃくちゃ髪の毛が長かったですね(笑)。山内順仁さんにジャケットの写真を撮っていただいたんですが、山内さんはすごくナチュラルに写真を撮ってくださって、山内さんとの出会いのお陰で自然な写真の撮られ方が自分でも分かってくるようになりました。写真が訴えるものってあるんだな、と感じられるようにもなりました。


撮影/廣瀬武弘 取材・文/加屋野ひとみ












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